2011-07-07

菜園 – 開墾編 –

昨年の春にここ一宮に引っ越してから1年以上が過ぎた。

 

引っ越す前は、自然に囲まれたこういう場所には
様々な生物も沢山いるという当たり前の事を <リアル>に想像出来ていなかった。
何となく分かってはいたのだが、苦手なモノは無意識に
考えないように、、、見ないように、、、していたのだ。
だが、実際暮らすとなるとそうも行かない。
断然<リアル>に生活に密着しちゃっているのだ。
家の外ではもちろんだが、見た事もない形相の虫が頻繁にリビングを横切り、
見慣れた虫でもその数や大きさは今まで見てきたものとは明らかに存在感が違っていた。

 

引っ越してからすぐに毎晩トイレのドアに無数のアリが発生する事にも気付いた。
何をやっても駆除できず、トイレに行く前に1号を呼んで退治してもらわないと
怖くて中に入れない日々が続いた。
アリごときで大袈裟な、、、と思うかも知れないが、
サイズも大きくて羽アリも混ざっているその数は尋常ではないのだ。
後にこのアリ(シロアリではなかったが、、、)がトイレのドアの内部に
巣くっていた事が原因だったと判明し(キャー)、
すぐに新しいドアに交換した。 こうして、やっとトイレに平和が訪れた。

 


 

そんな想像を絶する暮らしの中ですっかり落ち込んでしまったワタシは、
田舎暮らしを楽しむなんて気持ちにはなれなくなってしまった。
正直、最初の1、2ヶ月は以前に住んでいたピカピカの家に戻りたかった。

 

東京に暮らしていた時は「菜園とか良いなあ、、、」なんて言っていたくせに、
「畑なんてやりたくない。
 田舎に来たからって移住者の定番みたいに畑とかしなくたって別に良いじゃん。」
「新鮮な野菜なら安くて美味しいモノが直売所でいくらでも売ってるんだし、、、」
、、、と、すっかり頑なになってしまったのだった。

 

 

そして、引っ越しから半年が過ぎた。

 

この半年間、ずっと田舎暮らしを否定し続けていた訳ではなく、
戸惑いながらもそれなりに楽しく過ごしていた。
そんな時、仲良しになったお隣のイクコ母さんに
「畑しないの?面白いからやってみなさいよ。」と言われた。

 

そっか。面白いんだ。
面白いんだったらやってみようかな、、、と
やっと素直に思えた。

 


 

まず1号と相談して場所を決めた。

 

こからが大変だった。
今流行りの貸し農園のようにすっかり手入れされている畑と違って、
一から自分達で作らなければならないのだ。
敷地の周りの2辺は竹林に囲まれているので、竹の根は敷地内の至る所に張り巡らされているし、
先の住人の方がこれでもかっと庭中に木を植えていたので、
まずそれらを何とかしなければならなかった。

 

 

(左)引っ越し前2月頃、冬でもこのボリューム

(右)7月、夏ともなると鬱蒼としてお手入れが追いつかない 

 

 

まず、可哀想だが邪魔になっている木々を抜き、移動できるものは移動した。
シャベルで掘る規模では無いので、親切なお隣さんがユンボを貸してくれた。
太い竹の根っこもこれなら切れる。

 

 

 

(左)土の付いた根は到底人力では持ち上がらない (右)イクコ母さんのユンボの操縦はプロ級の腕前

 

(左)1号もすっかり板についてきた   (右)次々と巨大な竹の根っこが出現

 

掘り出した根っこ群

すっかり土木人となった1号

 

もうこれはガーデニングなんて洒落たものではなく、「土木工事」だ。「開墾」だ。
仕事の合間を見てはこの「開墾」を続け、1ヶ月かけてやっと菜園らしくなった。

 

すでに11月になっていた。

 

<つづく>

関連記事