2011-09-19

イラテック梨

ここ一宮町綱田地区は住民の半数以上が梨農家で、メインの通りも梨街道と名付けられている。
ま、街道と言っても梨農家以外は何もないのだが、
梨の収穫時期になるとあちこちに梨販売の幟がはためき、 静かなこの通りが少しだけ活気づく。
かつては献上梨となったこともある地元の名産と言うだけあって、綱田の梨はとても美味しい。

 

我が家も一番仲良くしているお隣さんが梨農園を営んでいるので、
昨年から梨の消費量が人生MAXだ。
しかも、毎日もぎたてを頂いているのだ。ああ、贅沢…。

 

日頃の親切のお礼にと、昨年から年間を通して梨作りを少しだけお手伝いしている。
肥料や藁を梳き込んでの土づくり、剪定、誘引、ビニール掛けやネット掛け、
受粉、摘果、収穫などなど、 1年を通してほとんど休む暇なく、お仕事が続く。
正直、こんなに手間をかけていると思っていなかったので驚いた。
こうして丹精込めて育てている様子を目の当たりにすると、
台風が近づくとまずお隣の梨の心配をするようになった。

 

今年に入って、お隣のお母さんが「これ、あなた達の木にしなさい。」と、
我が家との境界に一番近い梨の木2本をくれた。
「は?」と我々。
「だから、この木はあげるから、勝手にもいで食べるなり、人にあげるなり好きにしなさい。」と…。

 

簡単に言ってくれるが、苗木から実がなるようになるまでどれだけの月日をかけて育ててきた事だろうか。
1本の木に大体200個ほどなるらしいので、2本で約400個ほどできる計算だ。
普通に売ればいくらになるのだろうか…。
それをくれるって、まあ、太っ腹と言うか、なんと言うか…。
そういう人達なんです、お隣さんは。

 

そして、収穫時期になり、豊水、あきづきと順に2種類の梨がたわわに実り、
お言葉に甘えて毎日勝手にもいで頂いている。
もうこうなったら、梨を主食に生きていきます。

梨狩りのお客さんが間違ってもいでしまわないようにと
農園の一角に白いネットで隔離されたイラテック農園。

イラテック梨!

 

そして、今年もお隣のお母さんと一緒に大鍋いっぱいの梨ジャムを作った。

 

この梨ジャム、作り方はシンプルだけど、すごいのだ。
普通ジャムって、果実を煮込んで作るのがほとんどだと思うけど、
このジャムは皮をむいて芯を取った梨をジューサーにかけて、その果汁だけを煮詰めて作るのだ。
もちろん、お水、お砂糖などは一切入れず、使うのはこの絞った果汁のみ。
果実を使わないから普通のジャムよりずっと原材料の梨が必要となる。
梨農園でもやっていなければ、こんなに贅沢な使い方はちょっと出来ない。
今回も100個以上の梨を使った。

 

お母さんとおしゃべりしながら、皮をむいて、ジューサーにかけていく。
楽しいけれど、これだけの量の皮をむくのは一苦労。
その間にお父さんはかまどを出してきて薪の準備。
大鍋に溢れんばかりの絞った果汁を半分以下の量になるまで、
こっくりと飴色になるまで煮詰めていく。

 

梨は本来淡白な味だからジャムにするには甘さが足りないと思われがちだけど、とんでもない。
そのままでも甘い綱田の梨はここまで煮詰めると、より一層甘く、芳醇な味になる。
パンにつけても、ヨーグルトに入れても美味しいのはもちろんだけど、
お肉の漬けだれ等の調味料としてもとっても便利。

勝手にラベルも作ったりして、手作りの完全無添加、美味しいジャムの出来上がり。

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