2022-06-08
by Yla

梨の摘果

 
もう何度か書いているけれど、隣の梨園のご厚意で
農園の中の家に一番近い梨の木を2本お借りしている。
「これはあなた達の木ということにするから、
自分達で育てて自分たちで収穫しなさい」とのこと。
この有り難い申し出を受けて、毎年毎年、
素晴らしい梨ライフを送らせてもらっている。
収穫できる梨はその年によってばらつきはあるものの毎年数百個となり
「イラテック梨」として親戚友人知人に配ったり、
夏から晩秋まで美味しくいただいたりしている。
 
それもあってこれまでは、一年を通して行われる梨園のお仕事、
枝の誘引、受粉、摘果、ハウス栽培のビニール張り、外し、そして収穫など
これらを人手が足りなくて声がかかった時には手伝ってきた。
 
ただ、ここ数年は、梨園の主たちが高齢化のために農地を縮小したり、
こちらの仕事が忙しくてタイミングがあわなかったり、
それに加えてコロナの影響もあって、
梨仕事のお手伝いはすっかりなくなってしまっていた。
結果、自分たちの梨の木の世話も全部まかせっきりで、
収穫だけさせてもらっていて、ほんと心苦しいばかりである。
 
さて、そんな梨仕事だけれど、唯一自分たちに任されているものがある。
それが摘果(てきか)だ。
例年これだけは、自分たちの手で行わせてもらっている。
 
今年もその時期が来てお隣さんから声がかかる。
「あんたたち、もうそろそろよー」
「ああ、もうこの季節か」と、それを受けて
サトコと二人長靴前掛けで身を固め、久しぶりの梨園に入る。
 
 
ほとんどの方が梨の摘果をしたことがないと思うので
簡単に説明すると。
 
開花時に受粉させた梨は、花が散ったあと、その花芽に複数の実をつける。
軸の先についた小さな実、言ってみれば梨の赤ん坊が、
5、6個、同じ所から四方に突き出している。
その丸い膨らみが夏に向けてどんどん大きくなっていき、
やがて大きな梨の実になる訳だが、これをこのままにしておくと、
それぞれの果実が養分を取り合い、発育不足で小さな実になってしまう。
そこで、その5、6個の梨の赤ん坊の中から、
「これは」という子を残して後は間引いてしまう。
これが梨の摘果だ。
 
 
と、簡単に書いたが
この「これは」という実の選び方が、なかなかにムツカシイ。
果実を支えている軸の向きや、その時点での大きさ、傷汚れ具合に加え、
実と実の適正な間隔なども考えながら、要らない実を落としていく訳だが
毎度、ホントにこれでいいのかなー、と悩みつつの作業になってしまう。
 
それに何より、持ったる貧乏性のせいか
やがて実になるものを摘み取っていくというのが、
やはりなんとも、もったいないような気がするのだ。
サトコも「もったいないもったいない」を連呼しながらの作業だ。
しかし、初めの頃はもったいながって弱めの摘果となり、
結果、実の成りが小さくなってしまったこともあって
こういうのは思い切りが肝心と、小さい実をバンバン摘み取っていく。
 
 
ま、それでも毎年
それなりの大きさのものが、それなりの数収穫が出来ているのだから、
これはこれで正解なのだろうと思う。
そう思おうと思う。
 
 
さて、これで本年の摘果も無事終了。
後は選ばれた梨の赤ん坊たちがすくすくと育っていくのを待つばかり。
 
 
これは、今年
梨になりそこねた子どもたち(ほんの一部)。
この子たちのぶんも、大きく立派に、そして美味しくなるんだよ。
 
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