2015-10-06
by Yla

R.I.P. 長野さん

フライ・コミュニケーションズの長野さん(南風椎さん)が亡くなった。
9月9日のことだという。

 

長野さんが東京を離れられて以来、十数年はお会いすることが出来なかったが、
フェイスブックのおかげでここ数年はまた連絡がとれるようになり、
季節のご挨拶や、近況の報告をしていた。
書き込みで、ご病気にかかられたのは知っていたのだが、陰ながら快復を祈るのみだった。
そして今、突然の訃報に驚いている。

 

長野さんには昔、本当にお世話になった。
長野さんの手がけられた展覧会や、出版物には、いろいろと参加させていただいた。

 

アート作品をファイルして限定150部だけ刊行される「ART WORKS」
神をテーマにアーチストそれぞれのオリジナル本を作る「神展」(新宿東長寺)
廃棄物やゴミをアート作品に再生する「ヴァクテリアート展」(ギンザ・グラフィック・ギャラリー)
死者に捧げるオリジナル本を作る「R.I.P.展」(ギンザ・グラフィック・ギャラリー)
等など…

 

一番思い出に残っているのは1993年にマガジンハウスから発売された
CD-ROM作品「CATALOGUE OF NEW YORK CITY」だ。
長野さんが企画、構成したこの作品は、
ニューヨークに暮らす様々な人々のライフスタイルを紹介するマルチメディア作品で、
僕はこれのアート・ディレクションや、CGイラストレーション制作を担当させていただいた。

 

当時、こういったインタラクティブ・メディア、マルチメディア作品はまだまだ黎明期で、
その制作は僕にとっても、また長野さんにとっても、ほぼ初めての経験だった。
よって作業は慣れない事も多く、なかなか大変だった。
何度も何度も打ち合わせを繰り返し、出来上がったものをまた何度もやり直しした。
だから時間はかかったけれど、出来上がった時の喜びはひとしおだった。

 

その当時、僕は恵比寿に住んでいて、南青山の長野さんのオフィスには割合と近く、
打ち合わせにはいつも自転車で六本木通りを越えて通っていたのをよく覚えている。
打ち合わせの後オフィスで、または近くのバーに連れて行ってもらって
一緒に飲んだりしたのも良い思い出になっている。

 

長野さん、お世話になりました。
本当にありがとうございました。
本当は直接、感謝の気持ちを伝えなければならなかったのですが、
チャンスを失ってしまいました。
残念です。

 

安らかにお休みください。R.I.P.

「ART WORKS」に入れさせてもらったシルクスクリーン作品(86年)。
長野さんも気に入っていただいたようで、
その後出版されたグリーティングブックにも掲載していただいた。

 

 

 

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