2013-01-24
by Yla

電気グルーヴ「Missing Beatz」30年ぶりの「地図と記号」

 

TwitterやFacebookなどで、電気グルーヴのCDジャケットの事が
ちょっと話題になっているようなので、ここでも少し書いてみようかなと思う。

 

前作の20周年記念アルバム「20」から3年半、しばらくお休み気味だった電気グルーヴが、
久しぶりのニューアルバムを2月にリリースする。
で、先行シングルとして1/16にリリースされたのが「Missing Beatz」。
そのCDジャケットになっ、なんと!
私の30年も昔のマンガ「地図と記号」の絵がドドーン!と使用されているのだった。
これって、、、すごい事かも、、、。

 

このお話は、去年暮れ近くにキューンミュージックの方からいただいた。
「電気グルーヴの二人が「地図と記号」タッチのイラストをCDジャケットに使いたがっている。
 メンバー的にはマンガ「地図と記号」の絵がベストなのだが、カラー作品が必要なため
 同様のタッチで色付きの作品を見せてもらえないだろうか。」という事だった。
早速その当時(80年代前半)の作品をいろいろ取り揃えて選んでもらったのだが、
(この辺りのいきさつは、前々ブログ「線が走っている」を参照)
結局セレクトされたのは、当初のインスピレーション通り「地図と記号」の一コマであった。
上手い具合にカラー版「地図と記号」という作品があったので、それを使っていただく事となった。
やー、めでたしめでたし。

 

さて、さっきから「地図と記号」「地図と記号」って書いてるけど、
なんなのよソレ?とおっしゃる方も多いと思う。
つーか、ほとんどの人がそうではないかと思う。

 

説明しましょう。
「地図と記号」というのは、私がかれこれ30年以上も前に発表した短編マンガ作品である。
このマンガはまず、81年の5月号の「ガロ」に初掲載された。
79年の入選作品以後、継続的に「ガロ」には作品を発表していたが、
その三年目に発表した作品という事になる。

「地図と記号」表紙 1981年

 

この作品は発表当初より、わりと評判がよかったりしたので
翌82年に「宝島」より、当時の短編マンガを集めた二冊目の単行本を出版した際には、
その表題作として巻頭に収録した。
翌83年には思索社より3冊めの著作、カセットブック「エレファント・マニア」を出版。
カセットブックというのは文字通り、音楽を収録したカセットテープと本を組み合わせたもので、
その目新しさで当時ちょっと流行ったミックスメディア出版物だった。
ニューウェーブ満載のカセットマガジン「TRA」とかも話題を集めていたし、
なにより同じく思索社のシリーズ作品として、坂本龍一氏が「AVEC PIANO」
(戦メリのピアノ・ヴァージョン。後に「CODA」としてCD化)を出版していた。

 

で、私もこの「エレファント・マニア」では、短編マンガや物語をいくつかブックレットに掲載し、
それらを楽曲化したものをレコーディングし、カセットに収めたのだが、、、
さて、ここでもまた「地図と記号」を再登場させている。
自作の楽曲を添えると共に、ブックレットではカラー版にリメイクして再収録したのだった。

 

今にして思えばこの「地図と記号」
たった16ページの小作品(カラー版は12ページ)なんだけど、
やっぱり思い入れがある作品だったんだろうね。

「エレファント・マニア」収録 カラー版より 1983年

 

さてさて、そんな作品ではあったが、、、
時の流れと共に、単行本もカセットブックも絶版となり、
やがて忘却の彼方へ、歴史の暗闇の中へと、消え去ってしまってから随分と久しい。

 

 

しかーし、
そんな埋もれたマイナーなモノを憶えているような奇特な人も世の中にはいるもので、
まさしく電気グルーヴのお二人も、そんな人達だったようだ。
で、今回の話、
電気グルーヴのCDジャケットの話となった訳である。

 

発売されるまでは、
こんなの今更って感じじゃないのかな、、、大丈夫?と思わない訳でもなかったのだが、
発売日以後、ネット上での書き込みやレビューを見てみると、
全体的に好意的なものが多く、思ったよりリアクションも大きくてものすごく安心している。
という訳で、30年分のホコリをパタパタと払って、再び陽の当たる所に引きずり出していただいた
石野卓球氏とピエール瀧氏には、ただただ感謝するのみである。

 

80年代フレーバーあふれるポップなエレクトリックナンバー「Missing Beatz」
このジャケットが、楽曲のイメージアップに一役買う事を願わずにはいられない。

 

 

電気グルーヴ「Missing Beatz」ジャケットデザイン 2013年

 

 

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