2015-01-05
by Yla

門松を作る

うつらうつらしている間に、はや三が日も過ぎてしまった。
世間的には休みも終わり、本日より平常営業という所も多いとは思うのだけど
なんとか駆け込みでお正月な話題をひとつ。
年末に度々ブログやFacebookで「芍薬の絵を描く」様子をアップさせてもらったが、
実はそれと並行して、もうひとつ進行していた一大プロジェクトがある。
それこそ、なんと「自作門松プロジェクト」であった。
つーとかなり大げさなんだけど、要はあれです、
「自分ちに飾る門松は自分で作ろう」という話です。

 

「門松(かどまつ)とは、正月に家の門の前などに立てられる一対になった松や竹の正月飾りのこと。
松飾りとも言う。古くは、木のこずえに神が宿ると考えられていたことから、
門松は年神を家に迎え入れるための依り代という意味合いがある。」(ウィキペディアより)

 

日本人なら誰もが知っているだろうあの門松、
実はあれは誰が作っているのか?というのを僕はこれまで、あまり考えた事もなかった。
また、考えたとしても「植木屋さんか、それ専門の業者が作るんじゃないの…?」
くらいに思っていた筈だ。

 

その思い込みがガラガラガッシャンと覆されたのは
この地に引っ越してきて(いわゆる田舎暮らしを始めてから)はじめての年の瀬、
年末のご挨拶におとなりの農園を訪ねてみると、
となりのお父さん、竹を組み合わせたりして何かを作っていらっしゃる。
「なんですか?これは?」
「こりゃ、門松だよ。正月だから門松を作っとるんじゃ。」
「え?門松って自分で作るんですか?」
「当たり前じゃ。自分ちに飾る門松は自分で作るんじゃ。」
…みたいなやり取りが展開されて、ここで前述のガラガラガッシャンが僕の中で起こった訳だが、
言われてみればその通り、
いわゆる「田舎暮らし」というのは、実にこの「自分で使うものはなるべく自分で調達しよう」
精神にあふれたライフスタイルなのであった。

 

さて、この話に妙に納得した私、いつかは自分でも門松を自作してみようと思い込んだ次第。
で、その機会が初めて訪れたのが3年前の年の瀬、
この家で初めて年越しを迎えることになり待ちに待った「初自作門松」に挑むこととなった。
早速ネットで検索してみると、先達たちが様々な「門松の作り方」を披露してくれている。
それらを参考に作ってみたのだが…、
いかんせんあまり制作時間が取れず、かなり「やっつけ」な門松になってしまった。

 

植木鉢を使用するアイデアと竹を組み合わせたまでは良かったが、
後は松の枝と千両もどきをめったやたらと差し込んだだけ…、
しかも、本来対であるべき門松が、シングルになってしまった。
だめじゃん、これでは、
年神様が、どこを通っていいか分からないじゃん、
という情けない結果に終わってしまった、、、、
だがま、これはこれで習作という事で、とりあえず大成功としよう、と
妙な満足感を味わったのだった。

3年前のやっつけな門松。竹も松も千両(もどき)も全部自宅に生えてるものを使った。

 

さてそれから季節はめぐって二年後のこの年の瀬、ついにリベンジの好機が訪れた。
ふたたび「自作門松プロジェクト」の始動である。
と、「今回はやりますよ!」と意気込んではみたものの、
今回もまた、年末進行の押せ押せ状態、実際の制作は大晦日当日という
かなりバチアタリな感じになってしまった。

 

「門松の設置は「松の内」に入る12月13日以降ならばいつでも良い。
ただし、クリスマスは避けて設置される傾向にあり、他に12月29日に飾るのは「二重苦」、
さらに9の末日でもあるので「苦待つ」に通じるとされ、「苦松」といって忌む。
また12月31日に飾るのは「一夜飾り」「一日飾り」といって神をおろそかにするということから、
それぞれ避けることとされている。」
(再びウィキペディアより)
ね。

 

ま、でも作らないより、作るに越したこたあない、
と、焦って制作にかかったのであった。
以下、制作の様子。

まずは何と言っても竹である。竹なら裏の山に唸るほど生えている。
逆に言えば、裏に竹林があるからこそ、門松を自作しようと考えたと言ってもいい。
で、適当なのをみつくろって…、と。

今回もベースには植木鉢を使うことにする。
本式には小さめのドラム缶や、つけもの桶など筒状のものを使って
周りにぐるりとコモを巻き付ける、というのがそれらしいんだろうけど…、
でも、あんまり本格的になりすぎてもねえー、、、て感じで。

 あらかじめ用意したその他の素材。
この時期、このあたりの直売所では正月飾り用に葉牡丹が必ず売っているので、紅白一株づつを購入。
直径40センチの大きさで一個100円は安い!
あとは、庭に生えている南天なんかも引っこ抜いて準備。

竹を斜めに切る。 
切り口を綺麗に見せるために、サンダーをかけたりして…

高さを互い違いにした3本の竹を束ねる。
黒の麻紐とかで結わえると、雰囲気が出ます。
なんか、それっぽくなってきたよ。
で、これをもう一組用意。

鉢の中に入れてみて高さを決めたら…、鉢に土を投入。
一昨年はこれをやらなかったので、雰囲気が出なかったのかも。

で、後は寄せ植えの要領で、松や千両の飾りをどんどん植えていきます。
うーん、いい感じ。
竹の背景には、最初オーソドックスに笹を植えてみたんだけど…、これが、イマイチ面白くない。
で、そこで、ひらめいた!
ハランとかの方が面白いんじゃない?これなら庭にいっぱい生えてるし。
見た目もゴージャスなフラワーアレンジメントみたいな感じで…と、プスプス挿していく。
もう、ここまでくれば仕上がりは近し。

という訳で出来上がりました。こちらが向かって右の門松。

こちらが左。

 そして、無事に大晦日の夜を迎えました。

こうして、今回もいろいろ反省点は残るものの、とりあえず一組の自作門松が出来上がり、
その間を通ってお越しいただいた年神様とともに、我が家のお正月は滞り無く、
そしてうつらうつらと過ぎていったのだった。

 

いやあー、しかし面白いもんですね。
まさか自分の人生の中で、門松を自分で作るということが起こるなんて、
考えたこともなかった…。

 

「門松は冥途の旅の一里塚めでたくもありめでたくもなし」
あらためて本年もよろしくお願いいたします。

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