2007-03-21

Theremin(テルミン)

先日、東京文化会館で行われた「やの雪」さんのテルミンのコンサートに行ってきた。

小ホールといっても600名入るそのホールはほぼ満員で、年齢層も人種もバラバラだ。

 

テルミンは演奏する側だけでなく、聞く側にもひどく緊張感を伴う。
疲れるというのとは違うのだけど、何か気を抜くと壊れそうなのだ。
他の人の演奏を生で見たことがないので、やのさんだけなのか、皆そうなのかはわからない。

 

少し遅れて着いた時は、すでに4曲目だったろうか、、、。
今回はMCにサエキけんぞうさんが加わり、いつもより明らかに会場の笑いが多い。
ゲストにはいつもやのさんと一緒の赤城忠治さん(ex.フィルムス)と
窪田晴男さん(パール兄弟が揃ってる!)。豪華だ。

 

サエキさんはテルミンをよく知らないお客さんの為に、宇宙語を話すやのさんから
テルミンの事や演奏する時の色々な話を一生懸命聞き出している。
その噛み合わなさがすごくチャーミングで、みんなピースフルな表情でニコニコしてしまう。

 

そんな和やかな雰囲気のまま、インターバルへ…

休憩中に今回お招き頂いた手塚眞氏(実はやのさんは眞さんの事務所所属なのだ)、1号、
恒松正敏氏(ex.フリクション、画家)の3人の大好きないい男を捕まえ、記念撮影するワタシ。

 

後半数曲目。

 

皆が演奏に集中していたその時、、、、
ステージ真ん中でムーグ博士のテルミンを演奏中のやのさんが、
すーっと前のめりになったかと思ったら、そのままパタンと倒れたのだ。
テルミンはステージ下にそのまま落ちた。

 

次の瞬間、赤城さんが駆け寄りやのさんをそっと抱きよせた。
ピエタのように、、、。
岡野玲子さんも会場から駆け寄った。

 

観客の誰も騒がず、皆シーンとしている。

 

そこにサエキさん登場。
もちろん心配しているのだが、友人としてMCとしてこの状況を何とかすべく、
マイク片手に実況中継を始めた。

「えーー、、、何が起こったかといいますと、、まあ、見ての通りなんですが、、、」

「大丈夫ですか、、?」

「少し休んだ方がいいですよ、、」

「お水持ってきてください、お水。」

「皆さんも楽にしていて下さい」

「何なら休憩していただいて、、、」

 etc….

このMCのお陰で、心配、不安、、、色々な思いが笑いに変わっていく。

笑ってる場合じゃないのだけど、皆シーンとしているのもプレッシャーになって
やのさんの状況には悪いような気がして、がんばれ!!という代わりに笑っている。

なんと愛情溢れるMCなのかと皆わかっている。だから、笑っている。

 

サエキさんフォローの間、一度も楽屋にも戻らずその場で休んでいたやのさんも、
何とか復活して、無事最後までコンサートをやりとげました。

 

最後の曲はやのさんの歌だったのだが、いつもよりも増して儚く、
無垢と狂気の境目で震えていた。

 

帰り道、上野公園の夜桜も儚く狂気に満ちていた。

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