2012-07-01
by Yla

幸福な家出

白猫エルモは度々脱走を企てる。

 

勿論そんなに外に出たいのなら好きにさせてやっても構わないのだけれど、
頭の先からシッポまで真っ白な猫だし、
家のまわりは結構な自然環境であるからして、
半日も外に出ていると、みるみる薄汚れた灰色猫になってしまうのだった。

そのままベッドにもぐり込まれても困るので、
そんな日は、家に帰ったとたんにお風呂場へ直行となる。

 

最近では、家へもどる=身体を洗われる、という図式を学習したせいか、
一度脱出するとなかなか戻って来ようとせず、その捕獲に手間取る事もしばしばだ。

 

さて昨日は、梅雨の中休み、
久しぶりにカラッと晴れた良い天気。
で、窓を開けて空気を入れ替えたり、布団を干したりしていると、
件の白猫、案の定その隙をみて脱出に成功した。

 

家人と二人、小さなため息をつきながら
「ああ、また出ちゃったよ」とつぶやく。
、、、が、陽の光を浴びて、うれしそうに駆け回る姿がなんとも微笑ましく、
つい見とれてしまうのだった。

 

「やれやれ、当分、帰ってこないね」
エルモは颯爽と竹林を駆け下りてゆく。

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