2012-10-10
by Yla

バリ額の話

バリ島芸術の中心地ウブド、
そこから南へ少しいった所にマス(Desa Mas)という村がある。
ここは木彫りの村としてよく知られていて、
エキゾチックなデザインとその繊細な細工で知られるお馴染みのバリ木彫工芸品の数多くは、
この村に工房を構える職人達の手によるものだという。

 

今回の展覧会に使うすべての額縁はそのマスにある木彫額縁の専門店に於いて、
かれこれ15年ほど前、まとめてオーダーして作らせたものだ。

 

当時は差し当たってそんな予定はなかったのだが、「いつかこの額縁を使って展覧会をやってみたい」
というのが、漠然とはしていたもののその注文の動機であった。
しかし、なかなかその「いつか」は訪れる事はなく、
あっと言う間に15年という時間が経ってしまった。

 

その間、何度も転居を重ねたが、何処へ行ってもこのバリ額たち(結構かさばる)は、
自宅や仕事場の物置のかたすみでじっと息をひそめ、その「いつか」を待っていたのだった。

 

さて、今回の展覧会を企画していただいたスターポエッツギャラリーの今村ひとみさんの進言もあり、
このバリ額たちが、やっと本来の役目を果たす事ができたようだ。
遅ればせながらも、ついに「いつか」が実現化したのだった。

 

きっと、バリ額たちも、ほっとしているのではないかと思う。
それになにより、額縁に収まることになった今回の絵の数々、
熟成した時間のせいか、この額にしっくりくる絵になっているような気がするのだけれど、、、
それは作者だけの思い込みかもしれない。

 

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