2010-02-05

フットボール選手はテロと戦うべきなのか?

すでに1ヶ月近く経ってしまったが、1月8日、
アフリカ・ネーションズカップ開催国であるアンゴラのカビンダで、
バスに乗ったトーゴ代表が反政府勢力に銃撃され、2名が死亡、複数が負傷した。

 

この痛ましい事件を受け、大会開催の是非が問われたが、これが原因で大会中止となれば
テロに屈した事になるとの見方もあり、予定通り開催された。

 

事件当初、ショックを受けたトーゴ代表であったが、チームでの話し合いの結果、
亡くなった関係者や負傷した仲間の分まで頑張るべきだと予定通り大会出場の結論を出した。
しかし、トーゴ政府は帰国命令を下した。
帰国後、喪が明けてからの大会合流の打診をしたが却下され、
その結果、11日の試合に現れなかったトーゴ代表は同大会を失格となった。

 

そして、30日、アフリカ・サッカー連盟は、出場を辞退したトーゴ代表に対し、
今後2大会のアフリカ選手権出場停止処分、トーゴ協会に5万ドル(約450万円)の
罰金を科すると発表した。
選手が望んだにも関わらず政府側が強制的に帰国させた事が政治介入であり、
大会規定に違反するという事らしい。

 

事件が起こった直後、ヴェンゲル監督が安全が確保されればという前提で大会は開催されるべきだとし、
これで中止となれば犯人側とって、思う壺だと語った。
言っている事はわかる、、、が、その安全が確保されていなかったからこのような事件が起こったのだ。

 

アンゴラ側は飛行機での入国を勧めていたようだが、トーゴ代表はバスで現地入りした。
それで、トーゴ側の危機意識の低さも批判されたようだが、その理由は時間的、金銭的理由だという。
しかし、飛行機でなければ銃撃に遭っても仕方がないという地での開催自体、どうなのだろう。

 

フットボールは色々な人々(国)にチャンスを与えるものでなければならないと
エヴァートンのデイヴィッド・モイーズ監督も言っているが、
しかしながら、その為に、誰一人、命を懸ける義務までは無いのだ。

 

スポーツは世界を一つにする、、という崇高な理想の裏では、
世界中から注目される大会は常にテロの脅威に晒され続けている。

 

この事件を受け、6月に開幕する南アフリカW杯への懸念も高まっているが、
どうか何も起こらず誰も傷つかず無事に大会が終了する事を祈っている。


トーゴ代表の主将エマニュエル・アデバヨール(現・マンチェスターシティ所属)

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