2009-10-19
by Yla

「夜の鯨」

 

「Modern Detective Story」

 

このマンガは、1990年に月刊で刊行された大判のコミック誌「A-ha」に連載された。

題名からも分かるように近未来を舞台とした探偵物語で、主人公の自称私立探偵(本職は会計士)が、
毎回ちょっとストレンジテイストで謎にみちた事件に立ち向かってゆくという物語。

 

僕にとって「Modern Detective Story」は、いくつかの意味でとても記憶に残る作品となっている。

 

ひとつ、

わりとまとまったページ数で、毎回読みきりのマンガを連載するというのは、
僕にとっては初めての仕事だったということ。(それまでは短編作品がメインだった)
しかも毎回フルカラー!
「A-ha」は日本版バンドデシネを目指した全ページフルカラーの大型マンガ誌だった。

 

ひとつ、

僕のマンガ作品の中では、わりと分かりやすさやストーリー性を重視して作った作品であるということ。
読んだ人からも「今までの中では一番一般受けしそうなマンガじゃない(笑)」という評価をいただいた。

自分で言うのもなんだけど、僕自身も一度はちゃんとエンターテイメント性のあるものを
しっかり描いてみようと意識して制作した作品である。
(ま、でも、このレベルなんですが、、、)

 

ひとつ、

手描きのマンガ(紙にペン、カラーインクで彩色)としては、
この作品が、最後の作品になってしまったということ。

これ以後、僕の作品は(イラストもふくめ)全てデジタル環境で行うことになり、
手がけるマンガ作品もCGコミックになっていった。
(最初は特殊なグラフィックボードを積んだNECのPC-98で、その後Macで、、、)

 

 

さて「夜の鯨」はそんな「Modern Detective Story」の第2話めのエピソードだ。

 

近未来のビル街の空に浮かび上がる巨大な鯨、
当時、こんな絵をワクワク楽しみながら描いたのを、昨日のように憶えている。

 

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